まいこじし の しまふくりん

おもとの獅子系統は、木の表側だけでなく側面や裏面を覗いてみると様々な葉姿を現し、眺める者を魅了する。うねり巻き上がる獅子葉が縞柄に流れるような動き、躍動感を与え、深い覆輪(葉の白い縁の部分が幅広い)やせりあがる白い甲竜(葉の中央にある背びれのようなひだ)が、濃緑色の艶消し葉に映え美しいコントラストを見せている。特にこの舞子獅子は、片方の側面でしなやかに葉を流しているかと思えば、裏側で大胆な角巻きが力強く折れ曲がる造形美を見せつつ、正面は天を仰ぐように葉が繰り出され、首元は低重心で均整の取れた姿が特徴的。
縞柄は決して派手ではないが、筋状の上品なところと太めの刷毛で描いたような部分があり、青々とした幅広の葉にメリハリを効かしている。覆輪も深いから控えめさ一辺倒な舞子獅子ではない。





この舞子獅子は、とても端整な姿をしていて首元が太く健康的な木に見える。これは、ここまで立派に作り上げたおもと屋さんの腕前によるもので、この系統とこの個体が持つポテンシャルを最大限に引き出されているからだと思う。若親ということだそうだが、この力強くそして整ったプロポーションをいかに維持し、育て上げていくかは棚入れしたこちらの技量にかかっている・・・。