育苗温室(写真上)のあるこの場所は、かつて建設会社の工場が建っていたところです。天井クレーン、変電所設備などが装備された工場=プラントでした。そのプラントを植物のPlantという意味に置き換え、植物の居場所すなわちSpaceとし、その中に葡萄畑(Vineyard)が広がる(苗木を作るための母樹が植えられ、青々とした葉を茂らせる、その傍らで苗木づくりが行われる場所)という意外性を持たせて、Plant Space Vineyard と名付けました。
パリの市街地にもワイン用の葡萄畑があり、ロンドンの工業地帯では、コンクリートを引き剥がし、そこに葡萄を植えてワインを作ろうと奮起しておられる方がいます。そんな事例を拝見し、私もあながちとんでもなく検討外れなことをやろうとしているわけではないと、本の内容にかなり勇気づけられました。というわけで、我がPlant Space Vineyardも無機質な工場基礎のコンクリや陰気な廃屋を壊して、生き生きと植物が栽培される場所へと生まれ変わる象徴的なプロジェクトといえます。サブタイトルは、「工業団地のオアシス」とでも申しましょうか。コンクリ殻は、白く太陽の光を良く反射し光合成を促すのに効果的と思われますので、解体工事の時にモルタル基礎をクラッシャーというアタッチメントが付いたバックホーで破砕してもらい路盤材として再利用しています。以上がPlant Space Vineyardたる所以です。