樹液の玉

 フィロキセラ耐性のある品種を自根挿し木育苗しています。加温容器や室温常温管理下で発根・発芽し、無事鉢上げ工程まで進みました。

 現段階では、数節伸びて、葉裏や新梢の表面には透明で光り輝く小さなプチプチした玉が現れています。「真珠玉と呼ばれ、新梢が旺盛なところに分泌液が球状に固まる」とされていますが(小林和司著、育てて楽しむブドウ栽培・利用加工、P12)、英語ではGrape Pearl(ぶどう真珠)または、単刀直入にSap Balls (樹液玉)と呼ばれ、前者は宝石のような呼び名でなんとも美しい表現です。

 ぶどうを栽培して、初めてこれを見たときは得体が知れず虫の卵でも産み付けられたかと勘違いしました。改めてGoogle検索してみると、アイオワ州立大学の学外講座サイト内に、樹液玉に関する記事を発見、閲覧することができました。記事内容の使用許諾は必要ですが、記事へのリンクは歓迎するとありましたので、以下リンクを貼ります。

Grape Pearls – Weird sap on the vine
By Donald Lewis, Department on Entomology
https://hortnews.extension.iastate.edu/2009/6-3/grapepearls.html

 この現象が見られれば、私としてはまだ苗木として弱々しさは残るものの今後の成長がある程度保障され、挿し木または接ぎ木が成功した最初のサインと見なすことにします。発根した根が順調に伸び、新梢の先端までしっかりと樹液が上がるほどに根圧も高まっている証拠で、成長に必要なもしくはそれ以上の栄養分が成長点細胞に送り込まれ、余剰分が表面に分泌液となって現れると解釈します。

バイオダイナミック的にも、今は月が4月8日の満月に向けて満ちていく過程(しかも、なんとスーパームーンで月が1年で最も地球に接近する)※、つまり海の潮力も最大に増す時期で、すなわち地球上の水分が地上部へ引っ張り上げられるから樹液も自然と上昇し易い。それを狙って鉢上げを行ったわけですが、さぁこれからの成長がどうなるか楽しみです。

※「月と農業」中南米農民の有機農法と暮らしの技術、出版社:農山漁村文化協会(農文協)が大変参考になります。特に雨の多い日本では、ワインぶどうの収穫も、この本に書かれている内容・法則を理解し参考にすれば、より凝縮した果実を得ることができ、良い醸造につながるのではないでしょうか。

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