肥料焼けその他からの回復力

復活した挿し木
生育不良で廃棄寸前の穂木を挿し木

挿し木後1〜2ヶ月前後の幼苗木にとっては、規定の希釈倍率以上に即効性液肥を薄めたとしても、生育ステージ初期ということで肥料焼けを起こすことが分かりました。発根発芽を促す最初の期間を、バーミキュライト主体の無肥料培地で1ヶ月ほど温存されていて、ようやく数枚の展開葉が現れてくると、ついつい焦って肥料を与えて早く大きく育てようと欲が湧いてきます。しかし、養液灌水後の土壌溶液濃度が発根したての根にとって濃すぎる場合、土壌→根細胞に染み込む浸透圧のバランスが崩れてしまいます。つまりは、根から培地へ水分が逆流し、水が吸えないことから新葉がてんぷら油で揚げたパリッパリの大葉のようにしわくちゃになってしまう失敗(肥料焼け)を経験して生まれた標語は、上の写真 “NO Chemical Fertilizer” at this time!

肥料焼けの現象は、初期の段階では葉が下方裏側に内巻きになり、その後、先端部からの新芽展開葉がちりぢりになって開きます。恐らく酷いものだと成長点組織細胞が脱水状態となり退化、そこで成長がストップしますがすぐ下の節間から新しい芽が出て来ますから、焦る必要はありません。失敗も2度経験しますと確証に変わります。なお、肥料焼けは緩行性の粒状肥料でも起こりますから、挿し木後2ヶ月以内は控えるのが無難で、追肥するにしても相当薄めて与えるか、鉢上げの段階で肥料成分入り培養土のみにするのがよいと考えます。乱暴なことを言いますと、栽培専門書などでは基本的にブドウにはあまり肥料をやるな!ということが書かれているわけですが、果実を採るためのブドウ栽培と苗木を育てるための肥培管理や育て方というものは、やはり得たい結果が違いますから、当然プロセスも異なるわけです。今後は要肥料設計という課題が産まれました。

ちなみに、この鉢の穂木は発根・発芽の後期に、芽の徒長を防ごうと思ってLEDライトを近接照射したところ、思いのほか発熱する器具であったためその熱で芽を焼いてしまったものです。廃棄するか迷いましたが、もったい無いので、適当なサイズのポットにて寄せ植えして養生を試みたところ、さすが遅霜などで主芽がやられてしまっても副芽が主芽並みに旺盛(着果数量、品質共に)な品種という解説の通り、鉢上げ後数週間で見事ある程度復活しました。

外部環境にいじめられても打たれ強く、相当強健な性質の持ち主であることが分かるのも育ててみて実感できるものです。既存の欧州品種では難しいであろう今後の気候変動にも適応できる気がいたしますので(極端な暑さ・寒さ、多湿によるうどん粉病の発生、積雪不足)寒冷地とりわけ北海道のワイン葡萄栽培にとっては明るい未来が約束されたようなものと妙な自信が湧いてきます。育苗しやすいということは、苗木の需要増加にも対応しやすく、またぶどう生産農家の方にとっても栽培管理が容易で(さほど神経質にならなくても)しかも高品質なバリエタルワインが造れる品種となれば、産地貢献という事業発足のミッションを高次元で達成できるのです。

今回育苗初期の段階で、その適応力・生命力の強さに感心させれたわけですが、副芽のバイタリティがすごく、さらに頂点の芽がやられてもすぐに見切りをつけ副枝が出てきて、頂芽が退化するのを横目に、やがて立派な主枝を形成する軌道修正力、強かさは素晴らしいとしか言いようがありません。副枝が出るという特性は、どの品種でも同じかもしれませんが・・・。

自身の備忘録代わりも書いてますので、間違った解釈、専門的だったり表現が周りくどく読みにくい部分もあるかと思いますが、何かしら価値観を共有して下さる方がいらっしゃれば幸いでございます。

まだまだ細いが、順調に挿し木育苗中。
ポット養成中の試験栽培品種

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