四季成りイチゴ「すずあかね」の苗圃場

イチゴ苗圃場

今シーズン、とても天気が良いのはありがたいのですが日照りと高温による乾燥、すなわち潅水不足に気を付けなくてはならない年でもあります。

親苗床の培地が乾きだすと、潅水チューブでの潅水量を増やしたところで、なかなか水が行きわたりません。日の当たる株元はどうしても乾きがちで、根鉢もパンパンになってますから株元への手潅水を実施。それが呼び水となり、培地乾燥が一気に解消しました。

9月上旬も暑くなりそうとの予報です。ランナーの先端までしっかり水が行き渡るよう、潅水量は多めの設定で1~2週間様子をみます。

ポートランドの軟化

ポートランド
ポートランド、恐らく。

樹齢20年のポートランドと思しき白ブドウ。春先に強剪定した後は、比較的ワイルドに管理している。甚だ強健で育てやすいと言われるだけあって、その辺にぶん投げてあった剪定枝から新梢が大地を這ってきたりして、生命力に満ち溢れている。

2020年8月25日現在、果実のほとんどはまだ堅いままだが、一部で軟化が始まった。早速一粒食べてみる。酸味はなく、まだすごく甘いというわけでもない。糖度計で測ったわけでもないのだが、舌の感覚だとは9.5〜10度くらいではなかろうか。酸味が少ないこの品種特性ゆえにそう感じるのかもしれず、実際はもう少し低いのかもしれない。

葉はコガネムシの食害に遭っているが、黒とう病や灰カビも発症せず、殺菌殺虫剤も最小限の施用または無実施にも関わらず、しっかりと実をつける。北米交配種は日本の湿潤な気候にも適応し、さすが強い!

オーガニックというより放ったらかし栽培のポートランド

野草の復活

ゲンノショウコ
自生するゲンノショウコ

先日、畑で猛威を奮っていた外来種(帰化植物)であるオオアワダチソウを刈り、その後に緑肥植物の種を播種した旨をお知らせした。しかし、本来であれば自生する草本を生やすべきである。持続可能(サステイナブル)な状態にもっていくならば、敢えて元来そこに生えていないもので、地面を覆い尽くしてしまうのもなんなのかもしれない。

さて、オオアワダチソウが刈られて低い草丈の野草が目立つようになってきた。なかでも一際目にするのが、上の写真のゲンノショウコ(フウロソウの一種)である。ググるとwikipediaの説明が分かりやすい。昔から下痢止めなど整腸作用のある薬草として用いられていたようである。お腹の弱い男子諸君には有難いものではなかろうか。葉や茎などを乾燥させお茶のようにして飲用服用するそうであるが、飲み過ぎても便秘になったりすることもなく安心して飲めそうである。日本全国に見られ、静岡県の富士川を境に西は青花、東は白花が咲くと記されている。北海道北広島市の圃場に咲くのも白花である。控えめに咲く白い小さな花がなんとも愛らしい。

カバープランツ(緑肥)の播種

緑肥の趣旨混ぜ合わせ

遊休地一面に生えた外来植物のオオアワダチソウを地際で刈り取ったあと、緑肥の混合種子を2反ほどの面積に播種しました。白クローバー(アバパール)、ヘアリーベッチ(豆助)、ライ麦(春一番)、ケンタッキーブルーグラス(サンビーム)を適当な割合でブレンドしたもです。一年草のものを除き、来年以降の被覆植物となりますが、アワダチソウがある程度駆除されれば(劣勢になれば)、在来の雑草などの植生も回復してくるでしょう。来年新たにブドウ苗木を露地植え試験する場所ですが、このように地味ながらもインフラ整備作業を平行しており、なかなかの多忙を極めております。

接ぎ木苗、生育は良好です。

接ぎ木苗
接ぎ木ブドウ苗木

台木も穂木もメイドイン北海道の接ぎ木苗、順調に育っております。

台木5C、5BBおよびリパリア原種に接いだソーヴィニヨン・ブラン、シャルドネ、シルヴァーナー、ピノ ・ムニエetc。
ゲヴェルツトラミネール、ピノ ・ノワール777は2年生苗木としてハウス内過保護管理中。
露地栽培の台木は主要な5BB、5C他101-14、110Rなど北海道の気候と地質に適したものを取り揃えて増殖&育苗しています。

Vineyard Report 2 (8/11/2020)

Chardonnay
Chardonnay(シャルドネ)
2017年ポット養成(大苗化)後、畑へ定植。2020年着果試験中・・・
ツヴァイゲルトレーベ
 Zweigeltrebe(ツヴァイゲルトレーベ)
2017年ポット養成(大苗化)後、畑へ定植。2020年着果試験中・・・

一見うまくいっているように見えても、別の場面で思わぬ落とし穴にはまらないよう多面的に見る、というか気を付けなくてはなりません。ブドウ栽培に限らず人生(仕事)にも言えることでしょうか・・・。
さてシャルドネ、ツヴァイゲルト共に(上の写真それぞれ)初年度は凍害で枯れたと思いきや、なんとか生き抜くこと4年目。ようやく果実をつける段階にきました。
しかし、この実がなっている隣の枝はテッポウムシ(ガまたはカミキリ虫の幼虫)に穴を開けられる被害に遭っていました。実は、シャルドネ(上の写真)は実がなっている背後に白いテープ(メデールテープ)が巻いてあるのが見えますか?1ヶ月ほど前にここも虫に穴を開けられ、殺虫剤・捕殺・殺菌剤の塗布後に養生のためテープを巻く処置を施しています。下草刈りと病害虫の早期発見のためにはこまめな圃場巡回、大事です。

ちなみに生き抜いたシャルドネの隣に植えていたソーヴィニヨン・ブランは枯れました。今年芽が出ないので「恐らく枯れた」といことにしています。圃場に設置したデータロガー(温度記録装置)では、氷点下20℃を2019年2月に記録した場所で、しかも積雪は少ない地域ですから、道内でもVitis Vinifera種には酷な場所です。しかも、2020年の冬は積雪が極めて少なく10~20cmの積雪深でしたから、芽がやられたのかもしれません。眠っていることも考慮し、来年まで様子をみることにします。でも実はこのソーヴィニヨン・ブランの熟枝を去年採取していて、接ぎ木苗をこの春に作りました。ですから子孫としては生き残っています。一応1年は越冬して翌春伸びた新梢ですので(もう一本は越冬できずにその冬に枯死)、寒さに耐性があるソーヴィニヨン・ブランということで、只今ハウス育苗中です。今後も、寒さに耐性がある樹を母樹として、苗木を作る方向です(マッサールセレクションの概念で穂木採りし、健全な台木に接ぎ木します)。現在の方針では、多腐食性黒ぼく土で生育良好な台木を選定し比較的寒冷な環境で新梢が登熟するものを主に増殖中。