静寂の中で

ようやくまとまった雪が降った。12/20

朝から降り積もった雪は、40〜50cmに達した。クリスマスを目前に、ようやく本格的な冬景色となった。

12月も半ばを過ぎ、職場は久々に穏やかな雰囲気に包まれている。と私自身は感じている。今年はコロナ禍ゆえに、忘年会なる年末行事も中止となり例年のように労うことはできないが、なんとなく平和に時が過ぎていけばそれで良い。

このブログは、いちご苗増殖に関する紹介や寒冷地に適したワインブドウの苗木を育苗するという弊社の実験的取り組み、かつ挑戦的な試みを中心にPlant Space Vineyard というタイトル(施設名称)で、展開しているプロジェクトのストーリーである。最近は、そこへ若干の私的感情と哀愁かつ将来展望を漂わせ、人生観及び独特な世界観を織り交ぜながら勝手気ままに綴るエッセイ、随筆のような様相を持たせてきた。もっとも初期の頃は、社内向けに発したメッセージだったり、社外の方との交流の記録などを載せていたのだが。
時折、社内状況をほんのりとにじませたりもしたが、肝心カナメな当の本人にメッセージが伝わっていない(響いていない)ということが発覚し、ガックリきたことも・・・ある。

さて、インターネットから新聞、書籍といったありとあらゆる情報の中では、まさに玉石混交に様々なものが溢れ、垂れ流されている。特にオンライン上には非常にクダラナイどうでもいいようなSNS投稿やブログの記事、とても有益な公開情報、ネット経由だからこそ手に入れることができたものなど購入手段にいたるものまで様々な要素が含まれている。書籍から多くを学び取る私にとって、和書&洋書の購入機会を数多く与えてくれたAmazon.comにはとても感謝している。ちなみに、このブログも玉(宝)ではなく、その辺に転がっている石のようにたわいも無いものか単なる自己満足の類いであるから、適当に受け流していただきたい。

今から10数年前、会社の経営、組織運営に行き詰まった私は、とあるビジネスセミナーに参加した。その時聞いた話しでは、現代の産業構造はサービス業が7割を占めているとのことだった。かつて、多数を占めていた農林水産業から工業、製造業の時代になり、次第にモノが隅々まである程度行き渡ると、今度はより良いサービスやライフスタイルを求めるという経済的な需要を満たすため、働く人の割合も今やほとんどがサービス業に従事するようになったようである。特にバブル崩壊後は、廉価な製造コストを求めて、製造拠点が東アジア諸国に移転して産業空洞化などとも言われた。近年は、モノからコト消費に移行しているとも言われていたし、継続的に儲けを出すには、鉄砲売らずに弾を売れ、などと説かれたこともあった。果たして、苦し紛れに無理やり何かを売りつけ利益を上げるためだけに捻り出したようなビジネスは、本当に必要なのだろうか?

現在、コロナ禍の影響をほとんど受けていない業種もあれば、思いっきり打撃を受けているものとに分かれいる。当時、就労人口7割だったサービス業に分類される職業(実質的な物を生産しない非製造業に該当する)も、今や8割9割方に迫る勢いなのではないか?そこへ、外出自粛、不要不急の行動は慎むようにと非常ブレーキがかかった。そして、商品として多くのサービスを提供する業種業態、施設では甚大な経営的ダメージを被ることになったのである。残酷ながら、必要至急な仕事や商売だけが生き残って、それ以外は自然淘汰されてしまうのだろうか。

2年ほど前に、ユヴァル・ノア・ハラリ氏著のサピエンス全史という上下巻からなる書物を読んだ。難しい内容でもあったが、読み終えた後は今まで読んだビジネス本に書いてあることがとても薄っぺらく感じるようになってしまったほどの良書である。帯にはビジネス書大賞とあるが、どちらかというと文芸書・哲学書に属すると思われる。

こういった本を読むと、日頃身に起こる出来事も“近視眼的にしか見ることができない”という状態から抜け出すことができるかもしれない。何かが解決したりはしないかもしれないが、浅はかな考えや意見に振り回されることや、少なくとも安っぽいミーハーな素人情報に惑わされなくなるだろう。興味ある方には、ご一読をお勧めする。

農業と環境に関する警告書として、遅ればせながらセンスオブワンダーで有名なレイチェル・カーソン女史の「沈黙の春」を今日読み終えた。

コロナ禍は、人類の行き過ぎた活動や思い上がりに警鐘を鳴らすため、起こるべくして起こった重要なメッセージにも思えてならない。2021年の春を、世界は沈黙したまま迎えるのだろうか。

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