自家製ワイン造り

日本の法律では、「アルコール度数1%以上の酒類製造は法律によって禁止(規制)されている」ことが、日本のワイン産業発展の足かせになっているのではないか?という仮説を立ててみた。

アメリカ合衆国では、個人が自家消費用として年間100ガロン(約370リットル)まで造ってよいことになっている。一家族に大人が2名以上居れば、なんとホームメイド・ワインとして200ガロン(約740リットル)まで許されているのだ。発酵瓶(カーボイ)・乾燥酵母などをセットにしたワイン醸造入門キットなども簡単に手に入れることができる。そして、出来上がったワインの品質を競うアマチュア・ワインメーカー(趣味として個人的にワイン造りをする人々)のコンテストや集いなんていうのもある。もちろん、アルコール度数の制限などはないと理解している。(参考:Wine Spectator)

東欧のチェコ・モラヴィア地方にあるミクロフという街には、約100のワイナリーがあるそうだが、なんとその半数は自宅で飲むためだけにワインを造っているというではないか!(JCBザ・プレミアム2020年12月号の会員誌より)

もともと私自身は、ワインブドウの樹(苗木)を育てることに興味というか関心があって、ワインを好んで飲んでいたわけでもなく、実はあまり良く知らなかった。赤か白か、シャルドネって美味しいね程度のものであった。なので、興味を持ちはじめた当初も、醸造に関しては素人が触れるものではないと思っていた。しかし、いろいろ諸外国の情報に触れてみると、多かれ少なかれ規制はあるものの、自家製ワインについては寛容であることが分かってきた。だいたい、紀元前から造られ飲まれてきたもので、自然発生的に生まれたワインであるならば、そんな大昔に最初から国税や保健所という組織や法制度もあるわけがない。ちなみに、アメリカ合衆国では、上記の条件を上回る場合、つまり商売としてワイン造りをする場合は、日本と同様に国税の許可や保健機関(FDA:食品医薬局)から醸造免許を頂かなくてはならない。恐らく日本ほど敷居が高くない気もするが。

1月3日の北海道新聞一面では、「北大・道ワイン研究拠点」という見出で新年の明るいニュースとして華々しく報じられた。“北海道内のワイン産業の振興と技術支援として「北海道ワイン研究センター」を2023年度に設立する”とのことで、2000年前後から始まった道内ワイナリー設立ラッシュを、単に一過性のブームで終わらせない気運を感じたことは確かだ。品種改良は10年~20年単位のものなので時間はかかると思うが、ワイン産業において種苗に関すること、各種分析・ハイテク技術の開発などが、国や大学機関からサポートされ、またそれを中心に展開していくというのは、フランス・ドイツ・アメリカ合衆国の例をとっても正しいやり方であり、まさにそういった取り組みが必要である。

栽培や醸造技術のエクステンションプログラムというか、学位取得が目的でなくて技術の習得支援としては、社会人も受講できるよう、カリキュラムの質は落とさずコミュニティーカレッジレベルの教育課程も検討してもらいたい。私含めみんながみんな、北海道大学に入学できるほど頭が良くない・・・(爆)。カリフォルニア州で言えば、UCデーヴィス校への入学は無理でもナパ・コミュニティーカレッジで履修という選択肢があるように。また、生産者の圃場に植わっているブドウ樹のウィルス検定サービスなども、取り入れて欲しい。コロナ禍ですっかり一般的にも知られたPCR検査だが、大学やアグリビジネス企業の研究機関ならお家芸といえるだろう。

またアカデミックな産業支援は間違いなく必要なのだけど、もっと市民がワインというものに親しめる環境が必要と思っているのは、私だけではないはずだ。庭先やベランダの鉢にブドウの樹を何本か植えて、果実が収穫できればボトル1本くらいのワインが造れる。納豆や漬物、日本酒(どぶろく)など発酵食品とその製造に恵まれた国内環境だというのに、1%未満のアルコール飲料しか造られない(それ以上は御法度)というのは、あまりにも馬鹿げていないだろうか?

国税庁の資料によれば、大雑把に言って、日本国内で製造(販売)されるワインは、8割が輸入ワイン、輸入濃縮果汁からの醸造、バルク品を小分けして瓶詰されたものである。一方で、近年は醸造技術の向上や醸造用のヨーロッパ品種が日本国内で栽培されるようになったことから、日本ワイン法などの法律が制定されたり、行政の整備も進んできた。ちゃんとした設備で造られているかなど保健所の審査というか衛生管理はもちろん大事なのだが、酒税というみかじめ料を取るためだけの制度だとしたら、ワイン生産を振興すると言っときながら片方の手で首をしめて造りづらくしているように思えてならない。

極端な考え方かもしれないが、何せご立派な醸造設備一式をそろえて本格的にやろうとすれば、数千万円~億の金がかかる。仮に自己資金や金融機関からの融資を元手に始めたとしても、ブドウを植えて最初の4~5年は実を成らせられないから生産できない=お金にならない。その後もうまく行かなれば経営は破綻するし、家族経営だったら大変なことになる。生活費とか子供の学費がとか、いろいろあるわけじゃないですか。下手すると借金かかえて離婚とか目も当てられない悲惨な状況に陥る恐怖もあったりする。

ということで、ご家庭の台所や車庫で作ってみたら案外うまく出来ちゃって、商売としても成り立つんじゃない?みたいなノリで、ワイン産業に参入できるくらいの敷居の低さにしてくれても良いのではないか!ワイン特区では、2キロリットルが醸造免許の得られる下限値だが、それ未満は自家消費に限り免許不要で個人醸造してもよいとまでは言わない。せめて、100リットルくらいは適正なアルコール度数で、プライベートに造らせるくらいの規制緩和をしてはどうだろう。

コロナ禍で、巣ごもり需要が伸びているという。暗いニュースにばかりとらわれていないで、この際政府はガレージワイナリーを推奨する施策でも考えたらどうでしょう。少なくとも道独自の法令を作ってはくれまいか。ちょっと過激な提案かもしれないが。

接ぎ木台

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