ベレイゾン 2021

暦の上では二十四節気の処暑も過ぎると、秋の気配が漂ってきました。この週末は、また少し暑さ戻ってくるようですが、いかに。

さて8/22(日)、朝6時の畑巡回。一部のワイン用ブドウ品種で果実の着色(軟化)開始が確認できました。といっても、色づき始めたのはヤマブドウとの交雑種で、他のヴィ二フェラ種はまだ果皮も硬い状態。凍害の影響か、今年ツヴァイゲルトレーベは実をつけず、となりのまだ黄緑色で硬いピノ・ノワールを果皮の黒いブドウ(vinifera)の指標にします。一方シャルドネは、昨年よりは着果数が少ないもののなんとか実っているので、軟化の度合い、積算温度と糖度の関連データが取れそうです。

シャルドネ
シャルドネはまだ硬く、果皮の色も透明感にも乏しい薄緑白色をしている。
うど
畑の斜面に、ウドの花も咲いていました。
ケルナーを引き抜き、土を天地返し。

果実チェックの後は、病気に弱いケルナーをあきらめて、かわいそうですが引き抜きました。テレキ5C台木に接がれた苗木は、割りとしっかり根を張っていたので、改植する場合はフィールドグラフティングという手法で他の品種(穂木)を接ぐのもありだと、後から思いました。成園化もその方が早いですから、地中に根っこがある程度張っているというのは大きなアドバンテージですよ。抜根後は、剣先スコップで天地返しをして、クローバー他緑肥と土壌を軽くミックス。

この地点は、土を掘り返すと、丸くジャガイモほどの石や、扁平というか丸みを帯びた平たい石が多く出てきます。地質データを調べると、海か湖沼が隆起して出来上がった場所にあたることが判明(野幌丘陵の南端部に位置する)。畑の表面は、火山性のいわゆる黒ぼく土が覆っていますが、丸い石がゴロゴロでてくることから、どう見ても水に侵食されて丸みを帯びたとしか考えられません。石はおそらく凝灰岩で、樽前山の噴石物か火山灰が固まったものだと思います。けれども、その辺の地質年代や歴史的にそうなのか詳しく調べたわけではありませんので、はっきりしたことは申し上げられません。石狩低地帯というんですかね、昔々は海だったところの端(野幌丘陵の東縁)に位置しますから、可能性は否めません。海岸線だったとしたら、石狩湾のノッポロコースト・イーストショア(イシカリベイ・ウェスト)とか名付けてみたりして。ネーミングがちょっとハワイっぽいですな。まぁ、ハワイ行ったことないですけど(苦笑)。

石とは関係ありませんが、上の写真から外れますこと通路側から3列目にバッカスというドイツの交配品種を植えておりました。こちらも生育が良くなく(ここの寒さに耐えられず病害にも侵され)引き抜いており、その際土を掘り返していると、オケラが一匹出てきました。人生ではじめてその昆虫と対面したわけですが、えらい感動しましてね。しばらく観察していましたよ。その後、大根の種をまいて、大根に硬い地面を耕してもらう農法など、バイオインテンシヴなファーミングメソッド(The Biointensive Planting Method)を試みます。

掘り返した畑の土を掘り返したついでに、土壌サンプルを持ち帰りました。改めて簡易測定キットで酸度を測定しようというわけです。2018年に北海道中央農業試験場で簡単な土壌検査をしてもらったときは、ph5.0とかなりの酸性。その後有機石灰(ホタテの粉)撒いたり、牡蠣殻置いてみたりと、ある程度の酸度矯正はしました。今回はセルフチェックということで、土をコップに溶かし上澄み液に検査液を垂らしてその色の変化からphを測定するタイプを使用します。しかし、何日経ってもコップの中の水は濁ったまま(夕張川中流域の水の色みたいな)。砂と黒い細かい泥は沈殿しましたが、水は茶色く濁りまったく澄んできません。ですから測定液を垂らしても、どろ水のため色変化が分からず(phが分からず)仕舞い。固形物は、砂50%とトロッとした非常に粒子の細かいティラミスのようなチョコレートっぽい泥50%の比率。土壌の物理性からすると「壌土」に分類されるでしょうか。砂も川砂なのか太古の海辺にあった砂なのか・・・。赤みを帯びているので鉄分含んでいるのでしょうかね、北広島市で産出される赤い砂の部類かもしれない。単に石が風化して堆積しただけの砂なのか、分かり兼ねます。

そういえば、周辺の音江別川(JR千歳線の走るあたり?)で、海洋性の貝化石が出土しています。当社の資材置場とイチゴ苗のハウスがある敷地は、裏の沢川流域ですが、そこでも貝化石が見つかっています。そこの土地が、どのように出来上がったのか、地質学的なことをいろいろ調べると面白いですね。