社屋の4階からは、石狩平野越しに冠雪した初山別岳(標高1,492m)が、晩秋の澄んだ空気の中に横たわっていた。もう、冬はそこまで来ていると思わせる光景をしばし眺める。
稲作や果樹栽培に有利に働く、空知地方の夏の暑さは、この増毛山地があるお陰なのだろうか?日本海からの季節風が、この高い山々を乗り越え、フェーン現象が発生する。乾いた暑い風は、平野部に流れるも芦別や夕張の山にブロックされて、熱気が溜まる。そして、あのジリジリと暑い盆地のような気候を作りだす。苫小牧方面からの冷涼湿潤な風※は、北広島市、江別市や札幌市の厚別区などを通り抜け、岩見沢以北へは流れていかない。
道内の気候は、地域によって結構異なるのである。北海道は行政区域が、本州に比べて広いから、同じ市内や管内であっても大きな違いとなってしまうのだろう。
※近年、問題となっている太平洋側の暖水塊が原因とされる漁業への申告な影響(被害)が報告されているが、厚真や苫小牧沿岸の海水温が今後上昇傾向にある場合、胆振地方東部や石狩南部の千歳市、空知南部の長沼町辺りでは、栽培期間中に吹く冷涼湿潤な季節風に何らかの変化をもたらすのではないかと推測している。
私の理解では、寒流である親潮が根室から苫小牧沖まで回り込む関係で、周辺の沿岸部は夏でも涼しい。一方、西側の白老くらいまでは、日本海を北上する暖流の対馬海流から枝分かれした津軽暖流が流れこんでいる。(苫小牧沖が海流の分水嶺的な位置づけか?)そのためか、伊達市や室蘭市の浜は北の湘南と言われるほど、穏やかで暖かい地域だ。私は気象学の専門家でもないし、海洋のことも良く知らない。ただ、ここ20年ほどで道内の気候変動を肌で感じており、これらの現象に対する解明や研究が進むことを望んでいる。