Marechal Foch

Marechal Fochの原母樹。
Virus tested grape vine in the nursery.

グリーンハウスでブドウの苗木生産を行う際、冬から春にかけては、穂木採取用の樹をしっかりと冷気に当てて深い冬眠に誘うことに気を配っている。そして、春先の萌芽をできるだけ遅らせることです。長めに剪定しておいて、芽の膨みを確認しながら春が近づくに連れ徐々に切り詰めていきます。ゴブレット仕立てで穂木採りをするタイプは、新梢が出る位置を低めに維持したいので、できるだけ株元に近い芽を最後に開かせるよう、物理的にコントロールする手間も省けません。(4/13編集)

夏期に旺盛に茂り過ぎないよう、春先の温度管理を工夫したり、施肥量を少なくしてみたりもしましたが、肥料を抑えすぎると今度は窒素欠乏、マグネシウム欠乏などの生理障害(トラ葉や、秋に赤黒く変容)が出てしまう。肥料が適量でも、屋外に比べてハウス内は暖かく10月下旬でも葉が青々としている。昨今の肥料高騰もあり、8月以降も新梢が旺盛に伸び続けてしまうような過剰な施肥は、剪定作業が余計にかかる労力的な無駄を産むことにもなるが、貴重な肥料成分を剪定枝廃棄という形で、資源を無駄使いしていることにもなる。当面、ハウス内での育苗・母樹管理となるため、施肥量と潅水量の丁度良いところを探っているところである。

 生産量に応じて、屋外の穂木採り用園地が必要となったとき、それをどう確保するのか。携わる人員の問題、将来的な販売供給時の見えていない課題など、まだその先の足場も固めていかなくてはならない。できる範囲でやるのか、どこまでの作業ボリュームでどのくらいなら対応可能なのかなどetc。現状のハウス規模で成木(園)化した後の育苗生産能力は、年産3000株(本)を見積もっており、当面は簡易ポット苗での製品化を想定している。

3月は準備月間

寒冷地のワインブドウ栽培に特化した内容を固定メニューに↑アップいたしました。

 気が付けば4月ですねぇ。春は出会いと別れの季節でもあり、また新しいコトに挑戦したり新たな環境に身を置くなど、期待に満ちたときでもあります。あまり変化のない退屈な年もあれば、突如として大きな試練を背負い乗り越えなければならない出来事に遭遇する年もあろうかと思います。

 「ゆく河の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず。淀みに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとどまりたるためしなし。世の中にある人とすみかと、またかくのごとし。」(鴨長明 方丈記より)

さぁ2023年も新たな春がやってきました。皆さまいかがお過ごしでしょうか?

 さて、当所温室では春の植え付けに備え3月中旬はまだ外に雪が残る中、培土の搬入や苗床整備を進めておりました。ハウス内ではブドウの樹が屋外よりも早く休眠から目覚めるため、乾いた苗床に散水を開始しました。今年は、例年になく春の訪れが早く気温も高めで推移したため、予定よりも数週間~1ヶ月ほど作業を前倒しで進めています。

枝の切り口から迸るブドウの樹液
苗床に苦土石灰
乾いた培地にひたすら散水

 仕事は、段取り八分。地味な工程がほとんどです。でも、そこをおろそかにしてはいけない。「終わり良ければ総て良し」とも申しますが、何事もはじめが肝心なのですよ。そうでなければ、終わりも良しとならないように思うのです。