1.ハイブリッド・ワイン用ブドウ品種の試験栽培
6月2日の圃場巡回時に立ち上がっていた花穂は、6月中~下旬の間に開花・受粉を完了して7月4日には果実の肥大期に入っていた。果実はその後も順調に肥大を続け、7月26日の巡回時では粒径5mm~10mm弱にまで成長していた。樹齢3年(圃場定植3年目)。数え年(苗木養成1年)で言えば、4年目である。
新品種を普及する側の立場からいたしますと、生産者の方々へ不利益を生じさせてはならず、果たして期待通りのパフォーマンス(マイナス20℃以下の耐寒性、耐病性、果実糖度と酸度のバランス、豊産性)が得られるのかどうかを確認するための評価に時間を頂いております。
ゆえに、道内では既存ヴィ二フェラと収穫・仕込みの時期は被らないと想定される。
今年は、6月以降の防除暦(病害虫防除の時期や使用できる農薬の種類、量・回数などを年間のスケジュールとして記された表)の内容を見直し黒斑病や褐斑病の発生は皆無に等しく、雨の少ない天気が味方してくれたこともあってか順調に生育が進んでいる。昨年は、然るべき時に、然るべき剤を散布していなかったことや、お盆前後~8月下旬には降雨が多く湿潤な天気が続いたにも関わらず殺菌剤の散布期間が2週間以上あいてしまったことで、葉面に黒斑病や褐斑病と思われる病斑を生じさせるなどの被害があった。恐らく、6月の展葉期に病原菌が拡散する時期が重なり、そのタイミングで効果的な防除(圃場の減菌)ができていなかったのではなかろうかという考察結果だった。
先日(7/11)受講したJVA(一般社団法人日本ワインブドウ栽培協会)のFRACコードに関するウェビナーの内容はとても参考になり、効果的な剤の組合せにより、防除回数・量をできるだけ少なくするという理論は大変勉強になっただけでなく、(昨年の)考察結果の十分な裏付けとなったのである。
幸いにも、黒斑病はブドウの病害の中では最も防除(コントロール)しやすいものであり、殺菌剤を適正に散布しておけば大事には至らない。樹齢が若いこともあるが、当該品種は現在のところ他に主だった病害の事例はみられず、今後果実の状況を注視していく。(べと病、うどんこ病耐性や灰カビ病への反応)
本年度は展葉期以降、初期の防除により圃場内の病原菌数を抑えつつ、天候などをみながら適正な散布タイミング、FRACコードを参考にした薬剤の選定、散布回数・量・剤の種類など考慮しながら、防除を実施している。化学農薬製品の散布は、7月迄とし8月以降収穫前までは有機JAS認定のボルドー剤に切り換えていく。
2.PSV温室内の設備ととのう
ポット苗木養成のため、温室内に栽培ベンチを設置しました。少しずつではありますが、2024年以降の生産体制に備え、体制を整えております。以上、中間報告(夏のお便り)でした。