Itasca

Itasca
Itascaの果実

 Itasca(アイタスカ)は、ベと病、うどんこ病に強い耐性がある耐寒性ワインブドウである。フィロキセラに関しては、葉の症状(虫こぶ状)にも耐性があることから、ある意味最強と言える。ハイブリッド種なので接ぎ木ではなく、自根苗で栽培可能。

 フィロキセラの症状としては、ヨーロッパ品種(Vitis vinifera)は、根をかじられて衰弱し、アメリカ系ブドウ(Vitis labrusca)は、葉が無数のこぶ状に膨れ上がることで知られている。Itascaは、地上部の葉、地下部の根も耐性があると理解しており、安心して育てられる。

 2025年9月7日、半日が日陰になってしまう栽培試験区(札幌市厚別区)に植えられているItascaの果実糖度・酸度を測定した。

糖度・酸度測定

 9月7日時点での測定値という前置きをした上で、Brix 19.5°、酸は20g/リットルと高めだが1日を通して太陽の陽が当たるまともな圃場であれば、もっと良い数値をたたき出しているだろう。この試験地は、昼の12時を過ぎると林の日陰となり西日がまったく当たらない場所である。湿度も高く、ブドウ栽培には適さない場所であるにも関わらず有機JAS認定のボルドー水和剤を一度散布しただけで、カビ系の病気には葉も果実もり患せずに、べレーゾン期に突入している。ただし、今年は7月の中旬くらいまでは、降雨がほとんどなかった。

 べと病は、気温が11度を超えてくると、雨などで拡散した病原体が葉の気孔から侵入し増殖(無性生殖)するとされる。黒とう病同様、展葉初期での防除が重要と考えるが、Itascaはベと病に耐性があることから、その心配は極めて少ない。一方、湿潤な環境では、黒とう病に罹りやすい性質があるのだが、どういうわけかこの試験地では大した被害もなく9月を迎えたのである。

Itasca
今年の防除回数は2回のみ。殺菌剤のボルドー剤を1回、コガネムシ対策に殺虫剤を1回散布したのみ。