北の大地で試される、新しいブドウの可能性。
Exploring cold-hardy grape cultivars, vineyard management, and the future of northern viticulture in Hokkaido and other cold climate regions.

AI assisted illustration. Original photograph taken by PSV owner.
References and online sources: CFAN / mnhardy.umn.edu
9月は朝晩の冷え込みとともに、うろこ雲の空の下を飛び交うトンボのつがいが、夏の終わりを告げていた。そして、気が付けば10月のカレンダーに指先を添えている。
さて今年は、約10年ほど続いていたと言われる偏西風の蛇行が収束し(諸説あります)、冷涼なオホーツク海高気圧に北海道の上空が覆われたことで、昨年までのような猛暑に見舞われることは少なく、私自身は、快適な夏を過ごさせてもらったと感じています。
北海道が、かつてのような「涼しい夏」に戻っていくことに、一部のブドウ生産者の方は、少し不安に思うところがあるかもしれません。2015年以降は、秋になっても気温が下がらず、2019年を過ぎたあたりから、それまで以上に夏がドンドン暑くなっていったので、もともと冷涼だった地域では果実がよく熟した一方で、糖度が必要以上に上がり、酸が落ち過ぎてしまう現象に悩まされる産地も見受けられます。しかし、直近10年というスパンでの夏季高温傾向が、一旦終息するのではないかという見解が、一部の学者の方から発表されたわけです。
そうはいっても、地球全体としては、やはり気候変動の真っ只中にあり、平均気温自体は上昇を続けているということですから、人為的な経済活動(戦争も含め)による温暖化ということであれば、我々は後世の人たちにむけて、今からできることを実践し取り組まなければなりません。待ったなしです。
Plant Space Vineyard事業部では、北海道という寒冷地でのブドウ栽培において、一部のヨーロッパ品種やラブルスカ種に代わり、これからの代表的な品種カテゴリーに成長するであろう「耐寒性・耐病性ブドウ品種」を取り扱っております。
University of Minnesota(ミネソタ大学)の開発した、Itasca(アイタスカ)という品種は、辛口白ワイン用のハイブリッド系としては、もっとも冬の寒さにつよく、十分な糖度と酸っぱすぎない酸度で、さほど積算温度も必要とせずに栽培できる優れものです。しかも、ベト病に強い。前置きが長くなりましたが、先日Itascaの果実、果汁分析を簡易的に実施しましたので公開いたします。

2026年9月13日、7:00AM
糖度:22.9 Brix、酸度:11.2g/リットル(総酸TA:酒石酸換算)
栽培地:北海道 北広島市 弊社敷地内
参考有効積算温度:
恵庭市島松の気象データを参考に試算、2026年4月1日~9月13日までのGDDs (10℃)は、約1,150℃。ただし、樹の北側背後にブロック塀があり、太陽光の反射と若干の蓄熱がある。恵庭市島松と北広島市北の里の僅かな気候の違いも考慮する必要がある。
2026年9月28日、9:00AM
糖度:26.0 Brix、酸度:10.1g/リットル(総酸TA:酒石酸換算)
果房重量:143.8g/房
計測器は、ともにATAGO社製デジタル糖酸度計を使用。
果皮の色:8月下旬頃までは薄黄緑色だったものが、アンバーな琥珀色に変わる。
(評価コメント)
約2週間で、糖度は3度上がったが酸は1.1g/L(リットル)下がった(9月中旬→下旬)。糖度は上がるが、酸は落ちにくいようなので※、耐寒性がさほど求められない道内産地においては、補酸のためのブレンド用として、栽培しておくのもよいだろう。もちろん、寒冷な産地であれば単一仕込みまたは補糖のブレンド用としても役立つはずだ。冬芽の耐寒性も、氷点下28℃くらいまでなら、ほぼ問題なく、樹・枝の養生、積雪を考慮せずに安心して厳冬期をやり過ごせる。
※Itascaリリース以前の耐寒性ハイブリッドは、酸度が13~15g/Lに分布する品種が多かったため、残糖でワインのバランスをとる必要があった。しかし、Itascaは公表値で7g/Lまで下がるため、醸造工程においては、多くのヨーロッパ系ブドウと同等の扱いで辛口白ワインを造ることができる画期的な品種なのである。










































