先日の強風で、垣根倒壊!

仮復旧中のトレリスシステム。
仮復旧が完了し、ひとまず休憩。
見事に根元からボッキリと折れていた。
収穫を目前に控え、無惨にもなぎ倒されてしまった。

開園当初の軟弱なトレリスシステムは、重みを増したブドウの樹を支えるには厳しすぎた。直径わずか60mmの支柱は、低気圧通過に伴う北西の強風で、不朽した地中根元から折れてバタンと倒れてしまったのである。気象データによると、風速は8mほどだったようだが、瞬間的にもっと強い風が吹いたのかもしれない。しかも、仕立て方が北海道のワイン畑ではポピュラーなVSPではなく、ハイコルドンという果実が上の方に実る仕様なので、重心が高い。何せ実験的に始めた畑だったこともあり、資材はホームセンターで手に入る即席かつ簡便なものだった。なので強度や耐久性は最低限度のものということも今回の倒壊原因である。

来年からは、まともな支柱に順次取り替えていこう。みなさんの畑は、大丈夫だったでしょうか?

なかなかショッキングな光景であった。
とりあえず、応急処置の棒を立てる。
定植&支柱の穴掘り用に活躍するマキタのアースオーガ。

道なき人生を、生きる。

高速道路が延伸すると、カーナビゲーションの地図に載っていないから、その道路を走行すると、まるで車が空を飛んでいるかのようにナビ画面上を自車アイコンが進んでいく。

人生においても、思い切った決断をして、思い描いた結果がなかなか得られない辛い状況がある。結果が出るまで3〜4年、いや5年かかって、ようやく周りにも認めてもらえて、あぁ自分の選択や努力は間違ってなかったって、自信を持てるようになるまでは、まるで、地図上の道なき道を進んでいる気分に近い、と言ったらよいだろうか。ときには、反感を買ったり、軌道修正を強いられたり、悔やんだり、予期せぬ出来事に対応しながらも、前へ進んでいく。

目指す方向は、点として照準を合わせているのだけれど、道がこの先曲がっているのか直線なのか、走っていかないと分からない。

畑が森にかえってしまう前に。
野良ニンジンの花が、秋風に揺れる。

5日早い色付き

ピノ・ノワール標本木

昨年の記録では、9/3の投稿でツヴァイゲルト・レーベが色付き始めたと記してあります。毎日畑に行けてるわけではないので、曖昧にはなりますが数日前から徐々に緑色から赤紫色に変わり始めたのでしょう。なんというか、宝探しのようで、色変わりを見つけた瞬間は、心踊る発見の喜びがあります。いずれにせよ、現時点で今年は前年比5日早い成熟スピードです。

こちらは、9月中旬には収穫期を迎えてしまう?バラ房な山幸。

自宅近所の林に生えている山葡萄も、色付いていましたが、栽培品種はその素性から、さらに早い速度で熟していくようです。9月末までに熟れてくれる早生タイプは、この地における適合品種。何せ10月に入ると、10℃以上の積算温度はあまり期待できません。朝晩の冷え込みも余市や仁木町に比べてしっかりとありますから、葉っぱもほとんど散ってしまうのです。もはや、多くのヴィニフェラ種は、光合成できる状態にはなく、それにともない自身の生命を来年に繋げられるかどうかも分からない。しかも降雪が少なければ、凍死によるゲームセットです。翌春に芽吹くためのエネルギーは、わずかに蓄えられているだけで、生き残りという勝負に出なくてはならない。

会社に例えれば、決算時の純利益みたいなもので、次年度以降のスタートアップ軍資金、運転資金にあたりますから、何かあった時にある程度の蓄えがないと、再起できずにパタっと逝ってしまう。樹がある程度太く成長していれば、この場合は、利益剰余金がそこそこあり、銀行口座残高にも余裕がありますから持ちこたえる。ちなみに、流動資産である現金が重要で、貸借対照表上も不動産などの固定資産に数字が偏った経営体質は、良くありません。そして、それは家庭(家計)に当てはめても同じことが言える。なので、弊社もこの10年で、バランスシートの左右だけでなく、上下の数字が良くなるよう(下から上にウエイトを移す)努力し変えてきました。なんというか偉そうに説教じみたことを述べてしまった自分を後から恥じています。気分を害されてしまったとしたら、申し訳ありません。話しが飛躍しましたが、そういうニュアンスです。

と書いていて気付きましたが、糖度上昇(凝縮)には暖かい気温は不要か?樹は、寒い冬に向けて夏の間に蓄えたデンプンなど炭水化物を気温の低下にともない、糖化してゆく。いや、まてよその逆か?と理解しているのだけど、よく言われる果実中の糖度の上昇と酸度の低下については、まだそのメカニズム理解不足です。なぜならば、果実糖度と休眠に向けた樹体内部の動きは、分けて考えなくてはならないのか、そうでないのか。開花→受粉→果実肥大→軟化(糖度上昇)→収穫期→剪定→冬眠(春剪定の方は越冬後に剪定)というサイクルがあり、これは人間の都合から観た一方的な視点なのであり、ブドウにとっては、自らの生命維持活動で、子孫を残すための営みなワケです。鳥などに食べてもらい、種子をあちこちにばら撒いてもらえるように、甘くて美味しい実を成らせると同時に、翌春再び芽吹くために、自らの樹体内にブドウ糖・デンプンなどの養分を蓄える。果実が収穫されてから、自らの養分備蓄に動くようでは、つまり冬の到来がすぐそこまできているから間に合わない。だから、ベレイゾンの開始とともに、養分の蓄積は双方(果実と樹体内部)にむけて行われているというふうに考えられます。

冷静に思い返すと、まず最初に果実に糖分が蓄えられ、その後冬を越して来春再び芽吹くための栄養分として、残りの期間で糖を枝とか根とかの細胞内に蓄えてから、デンプンなどの炭水化物に変換してようやく越冬モードに入る。特に耐寒性の強い種類は、細胞内の脱水機能とこのプロセスが肝であり、奥が深い。疑問は、改めて専門書を読み返すとしよう。

さて北広島では、その心配はないけれど、夜温が下がらないと、ペラッペラになってしまうとか、つまり糖度は上がるけど、酸の落ち方が速すぎて、ワインの原料としてはバランスの悪いブドウになってしまうとか、リンゴ酸が糖に変わる?とかそのあたりをもっと知りたいと思っています。長野県の一部の地域では収穫前の気温(夜温)が高く推移して、収穫時における糖度と酸のバランスが狂ってしまう問題に直面しているというのを、以前ドキュメンタリー番組で視聴したことがあります。

ワインブドウ栽培において、温暖化問題は栽培適地の拡大に寄与するプラス面もありますが、決して手放しで喜べることではなく、いずれ北海道も考慮しなくてはならない時が来るかもしれません。雨が多くなり、湿度も高くなるようでは、うどんこ病やべと病などカビ由来の病害多発も懸念される。先ほどの糖度と酸のバランスの問題で、補糖はできても補酸はできない。ならば酸含有の高い品種をブレンドするなどというようなケースは、考えられるのか?糖度も上がるけど、酸が高いからMLFを経たとしてもセミドライかまたは甘口デザートワイン向きなんていう品種もあるから、どうなんだろうか。土にピートモスを混ぜ込むように、酸度調整目的に、そういった品種のニーズもあるかな?と思考が膨らむのでした。

いずれにしても、収穫のタイミングを決める大事なバロメーターとなりましょうから、この分野はよく学ぶ必要がありますね?

ベレイゾン 2021

暦の上では二十四節気の処暑も過ぎると、秋の気配が漂ってきました。この週末は、また少し暑さ戻ってくるようですが、いかに。

さて8/22(日)、朝6時の畑巡回。一部のワイン用ブドウ品種で果実の着色(軟化)開始が確認できました。といっても、色づき始めたのはヤマブドウとの交雑種で、他のヴィ二フェラ種はまだ果皮も硬い状態。凍害の影響か、今年ツヴァイゲルトレーベは実をつけず、となりのまだ黄緑色で硬いピノ・ノワールを果皮の黒いブドウ(vinifera)の指標にします。一方シャルドネは、昨年よりは着果数が少ないもののなんとか実っているので、軟化の度合い、積算温度と糖度の関連データが取れそうです。

シャルドネ
シャルドネはまだ硬く、果皮の色も透明感にも乏しい薄緑白色をしている。
うど
畑の斜面に、ウドの花も咲いていました。
ケルナーを引き抜き、土を天地返し。

果実チェックの後は、病気に弱いケルナーをあきらめて、かわいそうですが引き抜きました。テレキ5C台木に接がれた苗木は、割りとしっかり根を張っていたので、改植する場合はフィールドグラフティングという手法で他の品種(穂木)を接ぐのもありだと、後から思いました。成園化もその方が早いですから、地中に根っこがある程度張っているというのは大きなアドバンテージですよ。抜根後は、剣先スコップで天地返しをして、クローバー他緑肥と土壌を軽くミックス。

この地点は、土を掘り返すと、丸くジャガイモほどの石や、扁平というか丸みを帯びた平たい石が多く出てきます。地質データを調べると、海か湖沼が隆起して出来上がった場所にあたることが判明(野幌丘陵の南端部に位置する)。畑の表面は、火山性のいわゆる黒ぼく土が覆っていますが、丸い石がゴロゴロでてくることから、どう見ても水に侵食されて丸みを帯びたとしか考えられません。石はおそらく凝灰岩で、樽前山の噴石物か火山灰が固まったものだと思います。けれども、その辺の地質年代や歴史的にそうなのか詳しく調べたわけではありませんので、はっきりしたことは申し上げられません。石狩低地帯というんですかね、昔々は海だったところの端(野幌丘陵の東縁)に位置しますから、可能性は否めません。海岸線だったとしたら、石狩湾のノッポロコースト・イーストショア(イシカリベイ・ウェスト)とか名付けてみたりして。ネーミングがちょっとハワイっぽいですな。まぁ、ハワイ行ったことないですけど(苦笑)。

石とは関係ありませんが、上の写真から外れますこと通路側から3列目にバッカスというドイツの交配品種を植えておりました。こちらも生育が良くなく(ここの寒さに耐えられず病害にも侵され)引き抜いており、その際土を掘り返していると、オケラが一匹出てきました。人生ではじめてその昆虫と対面したわけですが、えらい感動しましてね。しばらく観察していましたよ。その後、大根の種をまいて、大根に硬い地面を耕してもらう農法など、バイオインテンシヴなファーミングメソッド(The Biointensive Planting Method)を試みます。

掘り返した畑の土を掘り返したついでに、土壌サンプルを持ち帰りました。改めて簡易測定キットで酸度を測定しようというわけです。2018年に北海道中央農業試験場で簡単な土壌検査をしてもらったときは、ph5.0とかなりの酸性。その後有機石灰(ホタテの粉)撒いたり、牡蠣殻置いてみたりと、ある程度の酸度矯正はしました。今回はセルフチェックということで、土をコップに溶かし上澄み液に検査液を垂らしてその色の変化からphを測定するタイプを使用します。しかし、何日経ってもコップの中の水は濁ったまま(夕張川中流域の水の色みたいな)。砂と黒い細かい泥は沈殿しましたが、水は茶色く濁りまったく澄んできません。ですから測定液を垂らしても、どろ水のため色変化が分からず(phが分からず)仕舞い。固形物は、砂50%とトロッとした非常に粒子の細かいティラミスのようなチョコレートっぽい泥50%の比率。土壌の物理性からすると「壌土」に分類されるでしょうか。砂も川砂なのか太古の海辺にあった砂なのか・・・。赤みを帯びているので鉄分含んでいるのでしょうかね、北広島市で産出される赤い砂の部類かもしれない。単に石が風化して堆積しただけの砂なのか、分かり兼ねます。

そういえば、周辺の音江別川(JR千歳線の走るあたり?)で、海洋性の貝化石が出土しています。当社の資材置場とイチゴ苗のハウスがある敷地は、裏の沢川流域ですが、そこでも貝化石が見つかっています。そこの土地が、どのように出来上がったのか、地質学的なことをいろいろ調べると面白いですね。

寒冷紗に感謝

イチゴ苗

培土充填量、定植直前の培地への十分な潅水、施肥料、定植時期、サイド巻き上げ換気開度の塩梅、カルシウムとカリの追肥判断、潅水量、手入れ、寒冷紗を掛けるタイミング全てがパーフェクトに揃いました。お陰様で、全ての育苗管理要素が高次元で実現して、過去最高レベルでの採苗量と品質が期待できそうです。

過去8年間では、日射量や気温が足りない年が数年続いたと思ったら、暑すぎてランナー先端が焼け過ぎ、親苗培地の乾燥がOut of control な悲惨な年もありました。潅水タイマーの設定ミスで、水が流れ過ぎ肥料成分が流乏してしまったのが昨年(今までそのような人的ミスは一度もなかったので、ある意味よほど疲れていたのだろう)。
そして今年は寒冷紗無しでは、さすがに無理な暑さです。今まで、これほど日よけの有難さを感じることはありませんでした。今後、夏季高温という気象条件が続くようでは、栽培管理もそれに合わせて変えていく必要があります。温室効果ガスによる地球温暖化が、驚くほど速いペースで進んでいるのか、それにともなう一時的な異常気象なのか、とにかく北海道も今までにない暑さに見舞われるようになったことだけは、事実です。

記録的猛暑2021

おんどとり
今年の夏は暑い。畑にぶら下げてある温度記録計。15時45分の気温、32℃。

先日、豪雨のようなまとまった雨が降ったおかげで、畑の土が潤いました。さすがに乾燥に強いブドウといえども、この春植えたばかりの苗木は根の張りが不十分。枯れないか心配していましたが、何とか持ちこたえ息を吹き返したようです。

植えて何年も経っている樹は、これくらいの乾燥はもろともせず、しっかりと実をつけています。そして、この厳しい環境にも負けず唯一まともに育つVitis Viniferaが、シャルドネ。

シャルドネ
シャルドネは、強い。

樹幹、水平コルドン部がマイナス20℃に爆されても、芽が凍死することなく生き残っているが不思議です。シャルドネ特有の環境適応力なのでしょうか?本来、そこまでの耐寒性は備えておらず、冬越しするための細胞内脱水能力や樹液糖度凝縮能力も、ヤマブドウや北米原生種及びそのハイブリッドのように高くはないはずです。この畑で多くのヴィ二フェラ種が、厳冬期には芽の中の水分が凍結膨張するなどして、細胞組織が破壊され枯死にいたったように。シルヴァーナーも、根本から根気強く新梢が出てきますが、やはり雪の少ないこの地域での越冬は芽にとっては無理のよう。

シルヴァーナー
生き残っているシルヴァナー。

シャルドネもシルヴァナーも、防除は控えめですがカビ系の病気には強いよう。過去にツヴァイゲルトレーベだったですかね、葉がうどんこ病にかかりましたが、1~2度の殺菌剤散布で収まる傾向です。特にここの畑では、品種によって黒とう病(Anthracnose)に罹患しやすく、5月下旬~6月初旬のBudbreak(出芽)後の、適度な殺菌剤散布が必要です。過去にはカスミカメの食害有りと診断して頂いたこともあり、シーズン最初の防除(殺菌・殺虫)は必要だけど、その後の防除暦というのは、ほとんど無しでいける品種があるということも分かりました。台木などは、葉はマメコガネに喰われますし(マシンガンで撃たれたように葉は穴だらけ)、樹幹はいわゆるカミキリムシの幼虫に穴を開けられ芯を食われたりもしますが、基本的にはもうまったく防除ゼロで健全に育ってしまいます。
一方、ピノ・ノワール、メルロー、ツヴァイゲルトレーベ、ケルナーなどかなり多くのヨーロッパ品種は、黒とう病にやられ、その後の成長に支障をきたしました。シルヴァーナーは分かりませんが、シャルドネは黒とう病に対して耐性があるのでしょうか。図鑑等では、やや罹患しやすいとなっていますが。
シルヴァーナーの背景に写っているのは、山幸です。ヤマブドウとの交配種は強い。ほったらかしの当グダグダ・クサボウボウ・ヴィンヤードでも、実にその強健振りを発揮しており今秋は果実の収穫を予定しています(サンプリング程度)。評価中のハイブリッド品種含め、比較対象のため様々なブドウ品種を植えておりますと、ダメなものは全くダメだし、この土地と気候にあった品種はそれは見事な成長を見せてくれます。この畑の表土は、アロフェン質多腐食性黒ぼく土で樽前山からの火山灰がわんさか降り注いだ土地です。果たしてその土壌が今後の成長にどう影響を及ぼしていくのか、楽しみでもあります。日本は火山列島ゆえ、火山培土の畑が多いと思いますから、そういった土壌で育つブドウ樹のワインの味というのが、日本ワインのテロワールの一つとして特徴づけられないのかな?と思ったりもするわけです。

果実酒 醸造 後進国ニッポンの未来

スモークツリー

7/15(木)くらいから、30℃近い暑さが続いています。早朝、畑の草刈りに行こうとしていましたが、あまりに暑いので、今日は外作業せずに、休日を家でゆっくり過ごすことにしました。朝食の後、前庭に植わっているスモークツリー(ピンクパール)の枝を切って、透明なガラス製の花瓶に生けたところ、見た目だけでも涼しくなりました。入手可能な方には、雰囲気だけでも、暑さしのぎにおすすめです。

さて、今朝の北海道新聞に余市町でシードル造りを目指していらっしゃる方の紹介がありました。フランスではシードレ?シードル、北米ではハードサイダーと呼び名が異なるくらいしか、私には知識がありません。聞くところによると、リンゴにも生食用と醸造用があり、作りたいシードルに合わせて、それ用に適した品種を選ぶとのことです。しかし、日本には醸造用リンゴというのは、ほとんど流通しておらず当然ながら苗木も入手困難。これが、果実酒の醸造後進国、日本の現状です。

そんな果実酒醸造アウェイな国内事情ですが、生産者自らが理想の品種を求めて、農研機構や種子バンク、海外の種苗生産機関から種木や穂木を取り寄せ、育苗しながら果実の生産をスタートしなければならない中、いずれはその努力が実を結んで欲しいと願うばかりです。ワイン用ブドウも同様、国内調達できるものは、品種やクローン選択に限りがあり、理想を追い求めだすと現在国内流通している品種ラインナップでは、物足りなくなってくるのです。すなわち、寒冷地に特化してそのギャップを埋めることが、私(弊社PSV事業)の仕事になります。

明治初頭のように、殖産興業として国が力を入れて各種農産物の海外品種を導入していた頃とは異なり、現代は病害虫の侵入を防ぐために植物防疫上の観点から、輸出国における病害虫の検査項目は年々増える一方であり、輸入後は隔離栽培にてより精密な検疫が待ち構えるなどハードルが上がっています。戦後、世界各国で品種改良が進むも、日本国内に輸入された果実品種は、実に少ないように思われます。日本の寒さや湿度にヨーロッパの品種が合わず、断念した過去もあり、国内の果樹産業は、独自の進化を辿ったことも事実でしょう。世界が認めた日本のリンゴ、Fujiは第二次世界大戦を挟んで、作出された奇跡の品種と言えます。戦争とその後の復興で、育種どころではなかったという国内情勢下にありながらも、この世に産まれ落ちた。そしてその後の高い普及率、成功を見れば今後のヒントが見えてきます。輸入にはそれなりの交渉が伴い、多方面との調整が必要だから情熱を持ってやる必要がある。育種も技術と知識が求められる。いずれも忍耐、時間とお金がかかるもので、性急にコトは運んでいかない。せっかちなタイプの日本人には向かない仕事なのかもしれない。それでも、やりたいと思える人にチャンスは巡ってくるのかもしれません。

今後、果実酒醸造後進国ニッポンを振興していくのは、進取の精神で知的好奇心溢れる農業人たちに、かかっているのかもしれませんね。現状を嘆いたり批判論評していても仕方ないので、どうしてそうなったのかを考えてみる。食文化がたまたま果実酒と合わなかったからかもしれないし、気候のことが理由かもしれない。国内生産に力を入れるより、海外から果実や果実酒を輸入した方が、手っ取り早かったのかもしれない。酒より果物そのものが食べたかったのかもしれない。しかし、戦後西洋化した衣食住の文化生活の中で産まれ育ってきた世代は、今までとは違った価値観を持ち、新しい風を吹かせ始めている。

私も微力ながら、寒冷地に特化した醸造用ブドウ品種の育苗及びその普及を目指しており、まずは種苗業者として近い将来世の中のお役に立てるよう、現在取り組んでいるところでございます。本来なら公的機関がすべきことなのかもしれない。私財(会社の経費)を投じてまで、まるで何かに突き動かされているかの如く、その必要性を強く感じたので推し進めています。将来的には、有望品種を病害虫に侵されていない良質な状態で提供できる、命名するとしたら「Clean Plant Foundation Hokkaido」的な存在の基盤体制の確立も必要と思われます。
育苗管理については、すでに実績がありますし弊社というか私の得意とする分野ですが、せっかく良いものを導入する以上、やはり最初は外部委託でもよいから、組織培養、ウィルス検定機能を備え、キチンと商業利用できる状態で、健全な種苗の維持管理・生産販売を行う機関をイメージします。いろいろと思考は広がっていくのですが、そうはいってもまずは、小品目数の取り扱いから始め、事業的に自社が持続可能な範囲で有望品種を生産販売(供給)できる体制を作り上げていかなれば、単なる絵に描いた餅だの、夢物語で終わってしまいますので、地道に進めさせていただきます。

カバープランツの選択ミス

畑の写真
繁茂した赤クローバー

畑の緑肥、カバープランツ、コンパニオンプランツといろいろ試してはみたのだけれど、背丈の高くなる赤クローバーは、繁茂し過ぎて管理が大変。茎も太く、繊維質で水分を多く含むため、刈り払い機だと作業に時間がかかります。白クローバーに比べて、線虫が増えにくいという理由から、種を蒔いてみたもののご覧の有り様。借り倒したら、天地返しをして土中にすき込んでしまおう。コガネムシの幼虫や、ブドウの新梢を無惨にも切り捨てるチョッキリムシの幼虫なども、耕転することで生息数をコントロールできるらしいのだ。しかしながら、大型耕運機もないのでスコップ手掘り返し後に、小型耕運機で軽く耕す程度だが。

ちなみに、チョッキリムシ=ゾウムシの食害&産卵被害は、ミズナラや栗の木が発生原因のひとつと思われる。なぜなら、以前娘が庭から拾ってきたドングリからカリカリという音がしたかと思うと、中からゾウムシが出てきたのである。畑の敷地内にも、立派な栗の木が生えている。でも、地主のお爺さんが大切に育てたものだから、さすがに切り倒すわけにはいきません。

さて、過去に硬盤打破できる深根性のエンバクを生やしたり、チッ素供給目的に大豆やヘアリーベッチ、白クローバーなどの種を蒔いた。昨年蒔いたヘアリーベッチは、発芽率悪くほとんど定着していない。飼っているウサギの餌用に、チモシーの種を蒔いたことをすっかり忘れていたが、今年は穂を付けるほど生育は旺盛に。宿根性のものは、種子を毎年蒔かなくてすむから、経済的だ。腰の高さまで伸びたチモシーは、刈り倒して、ブドウ株元の天然マルチ材として活用してみようか?

考えてみたら、Phylloxera (ブドウ根アブラムシ)耐性のある樹を植えるわけだから、線虫対策も必要なかったわけだよね。

計測機器の設置 その2

土壌水分測定器(テンシオメーターまたはpfメーター)をハウス内育苗床に設置しました。新梢の断面形状が偏平気味なので、土壌の水分過多による徒長を疑い、データを取ってみることに。植え付け直後は、根がまだ浅いため、乾燥による枯死を恐れていたのと、定植時に培地が乾燥気味だったので、多めに潅水していました。(5月中旬~6月下旬)

phメーター
水分過剰の範囲に針が示す。ph値2.2くらいまで、潅水を止めるか?

土に中に手を突っ込んで、湿り気を肌で感じるのも大事なんですが、データの裏付けも必要と思い設置してみました。葉の状態を見れば、水が足りているのか大体は分かるものの、数値からは、やはり水分過多といことが分かり潅水量を減らす調節をします。ある程度根は伸びているはずなので、多頻度少量ではなく一定の間隔を空けて、まとまった潅水量となるよう潅水タイマーの時間を設定しました(徒長とコケの発生を防止し、根の伸長を促す)。
表面は乾いているようにみえても、土の中は案外湿っていたりまたその逆の場合もある。ちなみに、水分計の受感部は、20cmの深さにあります。生育初期・中期・後期(越冬準備まで)と徐々に土壌水分を減らしていく管理計画です。適切な水やりは、水道の節水にもつながります。

いちご同様、ハウス内のブドウの葉にも、早朝に溢泌現象(いっぴつげんしょう)といって、しっかり根から水分が吸い上げられていると、葉のギザギザの先に水玉ができます。さらに、健全な茎の生成に必要十分なカルシウム成分が吸収されていれば、カルシウム痕といって白い痕が水玉が乾いた跡に残るのです。これらの現象は水分過不足や栄養状態のバロメーターとなりますから、観察時の大事なポイントとしては見逃せません。

カルシウム痕

6月下旬ともなれば、ハウス内の苗木は生育安定期に入り、一安心です。新梢の支柱固定作業、副枝の剪定が、この時期の主な作業となります。なんというか、盆栽の世界観とも言うべき感覚でしょうか。誘引の手間はかかりますが、仕立ての良い姿は、見ていて気持ちの良いものです。。

根がしっかり張ると、枝の成長は著しい。
根が張ってくれば、ホルモン合成や細胞分裂も活発となり、新梢の成長は著しく良好となる。