久々のブログ更新です。昨年2019年は、私どもにとってとても大きな節目の年となり、その波を乗り越えながら、時には自ら起こした大波に飲まれ溺れそうになりながらも、なんとか2020年を迎えることができました。
本業(経営母体)の荷役作業請負事業においては、向こう3年いや今後10年先を見据え、非常に痛みの伴う組織(人事)改革を断行いたしました。経営上というか組織運営上の課題があって、このまま少し様子を見ようか?しかし、それに目をつぶっていたり、問題の先送りや結論を先延ばしすることは経営者・リーダーとして職務怠慢に他ならぬことであり、苦渋の決断をせざるを得ない状況は決して好ましくないものの、やむを得ずといったところでした。良かれと思ってやったことが、意に反して想定外の方向へ展開してしまうなど、仕事も人生も修正の連続です。今後も本業をベースに小さい補正を繰り返しながら、良きものは推し進め、過ちは素直に認めつつ、改善を継続し、新規の事業である苗・苗木ビジネスとともに描いた理想の姿(ありたい姿)へ会社を育てていかなくてはなりません。
さて、前置きが長くなってしまいましたが、昨年イチゴ苗の増殖圃場では、培土育苗試験への協力をさせて頂きました。苗の供給だけでなく、育苗資材の試験研究データを取るための圃場、他の生産者の方々向けに実際の育苗状況、生産性が高く実用的な栽培方法などを視察して頂くモデルケース圃場になりつつあります。
醸造(ワイン)用ブドウ苗木の生産に関しては、Vitis Vinifera 20品種以上に及ぶ露地の試験栽培2年目を終えたところです。寒冷地に適した5BB、5C、リパリア・グロワールド・モンペリエなどは順調に育っており、2020年春の接ぎ木用台木に少量ですが採取いたします。また、オーストリア系統の赤ワイン用5品種をはじめ、クローン指定されたピノ・ノワール4種を露地または温室内の圃場に定植し、将来の増殖に備えます。
そして、育成者権等各種ライセンスや守秘義務がありますので、まだ一般公開はできませんが耐寒性と耐病性に優れ、北海道など寒冷地のブドウ栽培家にとっては防除作業の低減、枝伏せ・培土などの防寒対策が不要となるなど有益・有望な交配品種を正規導入し試験栽培を開始いたします。試験栽培期間・試験醸造を経て本格的な苗木の生産へと移行するための足掛かりを築けた2019年でした。今年はひたすら与えられたチャンスと時間を無駄にすることなく、愚直に作業に励みたいと思います。経済栽培品種になり得るのか試験結果によりますが、販売ベースに乗るまで最低数年場合によっては5年ほどかかるかもしれません。急がば回れ、成功に近道はありません。焦る気持ちを押さえて、いち早く北海道、寒冷地のワイングロワー、ぶどう生産者の皆さまにお届けしたい、その一心です。ご期待ください。
それにしても、今冬の雪不足は異常です。何せ年末に札幌の街中は、積雪がゼロになったのですから。報道によると1961年の統計開始以来、12月の降雪量が最も少なかったとのことです。年末年始は、滑走可能なスキー場が限られてましたので、いつもならお正月休みに札幌市内にある藻岩スキー場に行くところオープンしておらず、赤井川のキロロまで滑りに行った次第です。1月上旬、余市や仁木町そして空知の葡萄畑を見て回ったときは、積雪10センチ多いところで40〜50センチでした。樹がもろに露出している状態を目の当たりにし、凍害が心配されます。その後の降雪で積雪が増えたことを祈るばかりです。
ちなみに当社が借りている農地は、最低気温がマイナス20度を記録する場所ですので、雪の布団がほとんど無い今冬は、枯死するヨーロッパ品種が多くなると想定しています。近いういちに積雪状況を確認しなくてはなりません。
最後に、ブログタイトルを「Suburbs of Sapporo」から「Plant Space Vineyard 」に変更いたしました。