落ち葉清掃

 剪定が済んだところは、大量の落ち葉を収集し通路も清掃。施設園芸の場合は枯れ葉が露地のように自然分解しにくいため、ある程度は収集して毎年外へ出さなくてはなりません。本当は、すべて培地にすき込みたいところですが。
 
 ブロアーとかでブィ~ンって吹っ飛ばせば、すぐ終わるんでしょうけどね、手でつかんでひたすら取り除いてますよ。通路の葉っぱもほうきで掃き集めますしね。時間は多少かかりますが、電気とかガソリンはなるべく使わない方法で、ストイックにやってますよ。あまりね、効率性とか生産性がどうだとか、求めすぎない方が人間は幸せなんじゃないかなって、最近思いますね。あんたね、そんなに急いでどこいくのよって。ただね、冬はハウスの横の雪を除去するんだけど、除雪機は燃料入れないと動かないのね。当たり前だけど。なんだか言ってることが矛盾するけど、仕方ないわね。

 

 枯れた葉を取り除き、土壌表面を日光消毒。休眠期の防除で殺菌剤・殺虫剤も散布しますが、まずは病原菌や害虫の住処となる不要な枝葉を取り除き、太陽の紫外線(UV)で殺菌する。しかし、この「日光消毒」という言葉、私が子供の頃はよく耳にしたものですが、最近はあまり聞かなくなりました。

 さて、剪定しならければならない桝はもう一列残っており、通路の清掃含めあと数日はかかりそうです。

北海道内の有効積算温度

有効積算温度
有効積算温度とUSDA耐寒性指標

 上の図は、2021年に気象庁アメダス記録や当試験圃場の温度データ(過去3年分ほど)を基礎として、おおまかな積算温度※を一覧にしておいたものです。北海道も近年は猛暑に見舞われることが多くなり、クーラー無しでは夏を超すのも大変になってきました。ですから、実際はこの数値よりも高い温度が記録されているかと思いますので、あくまで参考程度にご覧ください。耐寒性指標についても、私が独自に当てはめたものなので、各地より詳細な気象データと照らしわせることをお勧めします。

 ※4月~10月までの平均気温10度以上の数値を足したもの。ここでの計算式は毎日の[(最高気温+最低気温)×1/2]ー10℃=Xと定義し、有効積算温度はXの総和とします。

 なぜこの表を載せたかと申しますと、今まで日本国内でワイン用のブドウを植えられる際(ワイナリーとブドウ畑を開設する際の参考基準として)、どの気候帯でどういったブドウ品種を植えたらよいかという指標には、カリフォルニア州立大学UCディヴィス校のアメリン&ウィンクラ―博士らが考案した気候区分(リージョンコード)の概念が頻繁に用いられてきたかと思います。

 その気候区分は、とりわけアメリカ合衆国のカリフォルニア州ではどこにどのようなブドウの樹(品種)を植えたら良いのかという問いに対して考案されたものということなので、地中海性や西岸海洋性気候にとても近い同州の気候帯とかけ離れた地域では、それに習って植えても、まともに育たないということになるわけです。例えば、夏に雨が多く冬はマイナス20℃以下になってしまうような冷涼で湿潤な地域では、耐寒性(耐寒性指標USDAハーディネスゾーンの数値が小さい)や耐病性(カビ系の病気に強い)に優れた品種を選定する必要があります。ケッペンの気候区分でいうとDfaあたりでしょうか。北海道の内陸部やアメリカの北東部、カナダのケヴェック・ノバスコシアなどが該当するかと思います。つまり、ウィンクラー&アメリン博士らのリージョンコードには耐寒性指標が含まれていないので、まったくとは言いませんがそれだけでは判断基準として不十分ということになるわけです。道内でバラなどを育てている方には、ハーディネスゾーンは馴染みがあると思いますが、どうでしょう。

 日本も同様に、夏に雨が多く冬寒いという気候特性に加え、冬は豪雪の日本海側、乾燥して晴天の日が多い太平洋側といったように極端な降雪量の違い、緯度による違い、内陸・海沿いといった地理的な理由で最低気温にも大きな隔たりがあります。今まで日本は、ヤマブドウ系、生食用のラブルスカ種とVitis viniferaの三者択一だったので、寒さやカビ系に強い耐性を持つハイブリッド系の品種を選択できませんでした。これから日本のワイン産業を失速させることなく更に振興(盛り上げて)いくには、幅広い品種群を各気候区分に合わせて体系的に理解し、誤解を生まないよう正しい情報を提示していく必要があります・・・。栽培して良し・造ってよし・飲んで良しの三方良しで。

秋の深まり

Fall Foliage
温室の中も紅葉シーズン

 毎年思うのだけど、まだハロウィーンも終わっていないというのに、「クリスマスケーキの予約受付中」というのぼり旗が、コンビニの店頭にはためいていた。年賀状の案内なども、すでにJPから郵送されてきたりしている。商業的には、どうしても準備の関係もあり、季節先取りは致し方ない。

 まぁ、でも、ゆっくりと今を楽しもうではないか・・。スクリーンハウス(温室)の中の、ブドウ達も来たるべく冬に備え、紅葉シーズンを迎えた。初夏の青々とした若葉も、生命力が溢れ、こちらの気分も高揚する。しかしまた、この緑から黄色に変わる秋の風情は、静かで、はかなくも美しい。そのハッとする鮮やかさに息をのみ、まるで心が洗われるかのような気持ちになるのも、よいものだ。

 希望と不安が入り交じり、未来に期待を寄せる10代~20代、壁にぶち当たりながらも必死で仕事に向き合う血気盛んな30代。30代後半では、自分なりの答えを見つけ、突き進む。40歳前後には、10代後半に経験したような期待に胸を膨らませ、高揚感に満たされる(第二の青春というらしい)エネルギッシュな局面に再び出会う。
 そして、ある程度の成功と失敗を経験し、知っている・思っていることと実際の行動や出来ることとのギャップ、真実に気づけなかったかもしれない自分に落胆し、悟る。イケイケどんどんで勢いづくあまり、何かこう地味だけど大切なこととか、影で自分を支えてくれていたであろう人の有り難みなんかも見えなくなってしまうのかもしれない。しかし、それほど盲目になって情熱を燃やさないと、得るものも得られない。人はまったくもって不器用だ。そういったことが後からじわりじわりと分かってきて、ようやく仕事人としてのベース(プラットホーム、またはオペレーションシステム)が出来上がる。年を重ね、成熟した大人へと新たな(次なる)人生の階段を昇り始める40代も、悪くないかと思えるようになってきた。

 さて、日夜寒暖差、外気温の低下にともない、苗木たちは樹体内に糖分を蓄積し、枝の硬化(木質化)スピードを加速させる。耐寒性の極めて強い品種は、糖やデンプン濃度を段階的に上昇させ細胞壁の外へ水分を追いやって、厳寒による凍結・幹割れなどの凍害から身を守るらしい。

 この冬期順応期間中には、成長ホルモンのオーキシンなどを阻害する物質も生成するという。そして、その阻害物質は春の芽吹き前には、自然消滅して、萌芽が始まるそうだ。この辺は、休眠打破と密接に関係していると思われるが、これらの植物的メカニズムを理解することで、適切な穂木の採取時期を見極められ、冬支度が準備途中の未熟な枝をストックしてしまうという過ちを防ぐことができる。また、接ぎ木や挿し木のタイミングを見誤ると発芽・発根不良につながってしまうのは、温度・湿度・水分や技術的な要因以外に、時期的なものも影響すると考えている。

 Fall colors in the PSV screen house. Fall foliage is seen on propagated mother vine tree of cold hardy wine grape. The temperature is decreasing day by day. It is a sign of starting ready for cold acclimation and winter survival. Natural beauty, isn’t it?